この記事は「AIトレード観察日記」の番外編として、連載を始める前段階——元手500万円の仮想口座でAIに日本株の自動売買を練習させてきた、この3ヶ月間の開発の記録をまとめたものです。特定の銘柄の売買を推奨するものではなく、あくまでAI開発の観察記録です。
4月末、最初の7戦は0勝7敗だった
このシステムが仮想口座での運用を始めたのは2026年4月23日。最初に組んだのは、RSIやボリンジャーバンドをもとに週単位でポジションを持つシンプルな売買ロジックでした。
ところが、最初に決済された7つの取引は、文字通り0勝7敗でした。
- オリエンタルランド(BUY): -25,150円
- 東京エレクトロン(SELL): -432,000円
- キーエンス(SELL): -198,000円
- ダイキン(SELL): -43,000円
- ファナック(SELL): -33,100円
- JR東海(BUY): -22,700円
- 任天堂(BUY): -42,500円
合計損益は-796,450円。元手500万円のうち、あっという間に約16%を失った計算です。
敗因分析: 強気相場での空売りと、粗すぎたスコアリング
7敗のうち4つは「RSI過熱」を理由にしたSELL(空売り)判断でした。東京エレクトロン、キーエンス、ダイキン、ファナックといった値動きの強い銘柄を「買われすぎだから下がるはず」と判断して売り建てたものの、実際の相場はそのまま上昇を続け、AIは逆行された形で損切りにあいました。当時は市場全体が強気相場(ブル相場)で、「過熱=下落」という単純なロジックが通用しない局面だったことになります。
残りの3敗はBUY側でしたが、こちらもエントリーの基準がゆるく、明確な優位性がないまま入っていた取引でした。要するに、最初のシステムは「買われすぎ・売られすぎ」という表面的なシグナルだけを見ていて、相場の地合い(強気か弱気か)を考慮できていなかったのが根本的な敗因です。
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そこから始まった改善の積み重ね
ここからは、負けた理由を1つずつ記録して直していく作業の繰り返しでした。実際に残っているログを振り返ると、改善は段階的に積み上がっています。
- Optuna自動学習の導入: 14日ごとに12個の売買パラメータの組み合わせを何百パターンも試して最良の設定を探す仕組みを組み込みました。学習履歴を見ると、成績スコアは第2サイクル(2026-05-20)・第3サイクル(2026-06-03)ではまだ0.0でしたが、第4サイクル(2026-06-17)で0.6667まで一気に改善し、以降は0.54〜0.61あたりで安定するようになりました。
- 翌営業日寄り付き約定への変更: シグナルが出た当日ではなく、翌営業日の始値で約定させるルールに変更し、より現実に近い検証ができるようにしました。
- トレーリングストップの導入: 一番高かった価格からどれだけ下がったら利益を確定するかという「trailing_stop_pct」を新設。含み益を伸ばしつつ守れるようになりました。
- 分割利確ルール: 含み益が一定水準(+3.1%)に到達した時点でポジションの半分を確定させる「分割利確」を導入。直近のトヨタ・ソニー・コマツ・NTTの決済理由には、いずれもこの「分割利確」が記録されています。
- フィルター答え合わせ: 見送った銘柄のその後の値動きを追跡し、「あの時見送った判断は正しかったか」を毎週検証する仕組み(filter_report)を追加しました。
- 戦略の複線化: 当初は単一のロジックだけでしたが、現在は押し目買い(dip)、ブレイクアウト(breakout)、窓埋め(gapfill)、25日移動平均リバウンド(ma25rb)の4戦略体制に拡張し、相場ごとに資金配分を自動調整するようにしています(ma25rb戦略は本日2026-07-19に稼働開始したばかりです)。
そして今、勝率は5割を超えた
これまでに決済された取引は通算16件。内訳は9勝7敗で、勝率は56%です。しかも、最初の0勝7敗のあとに決済された8件の取引はすべて勝ち(8戦8勝)で、直近の調子は明らかに上向いています。
現在の仮想口座の総資産は5,004,260円で、元手500万円に対して+0.09%。まだ通算では-718,496円のマイナスを引きずっていますが、最初の-79万円の穴からは着実に埋め戻してきています。
学び: AIも人間と同じで、負けた理由を記録して直すことでしか強くならない
この3ヶ月間で一番実感したのは、AIといえども魔法のように最初から勝てるわけではない、ということです。0勝7敗という結果を隠さずに記録し、「なぜ負けたのか」を1件ずつ分析し、パラメータやルールを1つずつ直していく——その地道な繰り返しでしか、AIは強くなりませんでした。これは人間のトレーダーが日々の振り返りを通じて成長していくのと、本質的には同じ話だと感じています。
この観察はまだ道半ばです。今後も「AIトレード観察日記」で、AIの学習と成績の変化を実データのまま記録していきます。
免責事項
本記事はAI開発の観察記録です。実際の資金は動かしておらず、投資助言を目的としたものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
