2026年7月21日、高市内閣のもとで「骨太の方針2026」が閣議決定された。副題は「『責任ある積極財政』元年〜日本の挑戦を起動する!〜」。正直、閣議決定のニュースなんて毎年出るし「またか」と思う人も多いだろう。実は私も最初はそう思っていた。ただ今回は数字の桁が違う。2040年度までに官民累計370兆円超、国内投資250兆円という目標が掲げられ、財政運営の目標自体も「プライマリーバランスの単年度黒字化」から「債務残高対GDP比の安定的な低下」へと転換された。国債を発行してでも成長投資に回す、という姿勢がはっきり打ち出された格好だ。藤沢の自宅で1968年生まれ・投資歴約23年の私が、この方針をどう読み、ポートフォリオにどう向き合っているかを共有したい。
何が決まったのか、まず数字で押さえる
今回の骨太の方針では、17の戦略分野・62の重点技術/製品領域が示された。GDP目標は1,100兆円。最低賃金は2030年代前半までに1,500円を目指すとされ、現役世代の社会保険料率も引き下げの方向性が示された。2027年度予算編成については「一律緊縮からの脱却」が明記されており、これまでの緊縮基調から積極財政へと軸足が動いたことがうかがえる。
投資額の内訳を見ると、想定される2040年度までの累計投資額は半導体分野が68.0兆円でトップ。以下、データセンター・蓄電池が32.7兆円、ゲームが24.5兆円、新薬が23.4兆円、領域特化AIが23.1兆円と続く。バイオ医薬が20.8兆円、次世代ワイヤレス(6G)が20.5兆円、バイオものづくりが12.8兆円、先端医療デバイスが11.6兆円、フィジカルAIが10.5兆円という規模感だ。ほかにも量子計算10.3兆円、自動運転8.2兆円、政府DX7.4兆円、人工衛星6.4兆円、水素6.2兆円、月面5.6兆円、次世代革新炉5.0兆円などが並ぶ。
制度面では、防災庁の新設や副首都整備の法制化、防衛分野の「5年間の変革」も盛り込まれた。生活に直結する話としては、70歳以上の医療費窓口負担の見直しが2026年内に判断される予定で、給付付き税額控除についても8月上旬までに結論が出るとされている。この2点は家計にも影響しうるので、続報は追いかけておきたい。
投資家として、私はどう見ているか
半導体・AI関連はすでに市場の期待がかなり織り込まれていると感じている。実際、アドバンテスト(6857)はPER45倍前後、三菱重工業(7011)もPER33倍前後という水準まで買われており、今から新規で厚く積み増す局面ではないというのが私の判断だ。むしろ今回改めて意識しているのは、恩恵が語られている割に株価がまだ追いついていない銘柄群になる。
半導体・AI関連では東京エレクトロン(8035)、アドバンテスト(6857)、ディスコ(6146)、レーザーテック(6920)、SCREENホールディングス(7735)、ルネサスエレクトロニクス(6723)、信越化学工業(4063)、SUMCO(3436)あたりが引き続き主役だが、防衛関連の三菱重工業(7011)、川崎重工業(7012)、IHI(7013)、三菱電機(6503)、創薬関連の第一三共(4568)、中外製薬(4519)、エーザイ(4523)、ペプチドリーム(4587)、テルモ(4543)、宇宙関連のispace(9348)といった分野にも投資の裾野が広がっている。
なかでも私が個人的に注目しているのは、次世代革新炉に5.0兆円という投資額が見込まれているエネルギー分野だ。関西電力(9503)はPER8.2倍、PBR0.74倍と解散価値を下回る水準にありながら、配当利回りは3.49%とインカムゲインも見込める。次世代革新炉政策の直接的な恩恵が期待できる銘柄として、割安さと材料の両方を兼ね備えている点が魅力に映る。ほかにも日揮ホールディングス(1963、PER13.0倍・PBR1.39倍)、千代田化工建設(6366)、名村造船(7014、PER11.4倍・PBR1.83倍)、クボタ(6326、PER14.8倍・PBR1.15倍)あたりは、テーマとしての注目度に対して評価がまだ追いついていない印象がある。防災庁新設を材料に、防災・インフラ系にも目を配っておきたい。
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気をつけていること
念のため断っておくと、これは「この銘柄を買えば儲かる」という話ではまったくない。国策テーマの銘柄は、方針決定直後は思惑で買われても、具体的な予算配分や工程表が出るまでは材料出尽くしで一服することも珍しくない。私自身は一括で厚く張るのではなく、すでに保有している銘柄群の中で今回のテーマに重なるものがあれば「持ち続ける理由が一つ増えた」くらいの受け止め方をしている。新規で買う場合も、割高警戒ラインを超えている銘柄は見送り、株価が材料に追いついていない銘柄を少額から時間分散で拾う、という普段どおりのスタンスを崩さないつもりだ。
投資判断はあくまで自己責任で。この記事の情報は2026年7月22日時点のものであり、将来の運用成果を保証するものではない。銘柄名・数値はいずれも公表情報および閣議決定資料に基づく実在データだが、株価水準や割安度は日々変動するため、実際の売買判断の前には最新の株価・決算情報を必ず自分で確認してほしい。骨太の方針は「絵に描いた餅」で終わることも過去に何度もあったテーマだ。今回は投資枠がシーリング撤廃・複数年度という異例の規模感なだけに、私は今後の予算編成や中長期経済財政計画(2027〜2040年度)の具体化を継続的にウォッチしていくつもりだ。

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