正直に書きます。私は30歳の頃、ひどく貧乏でした。資産はほぼゼロ。今の私を見て「元々恵まれていたんでしょう」と思う人がいたら、それは違います。
この記事は、私が実際に歩いた23年の記録です。うまくいった話だけでなく、一番長く苦しかった「8,000万円から1億円までの数年間」のことも書きます。そこが一番大事だと思うからです。
30歳、資産ゼロ。すべてはここから始まった
30歳の頃の私には、貯金と呼べるものがありませんでした。
転機は、ある先輩に相談したことです。その方の助言で神社に参拝し、飲食業に就職しました。今思えば、この就職が人生を変えました。なぜなら、そこで株にとても詳しい上司に出会ったからです。
投資の知識はゼロ。でも、毎日その上司の話を聞いているうちに、少しずつ「自分もやってみたい」と思うようになりました。
2003年、預金を下ろして買った200株
私の投資デビューは2003年。ソニーショックで市場全体が沈んでいた時期です。
銀行預金から50数万円を下ろして、ソニー株を200株買いました。決して余裕資金が潤沢にあったわけではありません。それでも「ここで買わないと」と思ったのを覚えています。
金額としては決して大きくありません。でも当時の私にとっては、間違いなく大きな決断でした。この200株が、すべての出発点になりました。
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銀行株で得た、最初の手応え
その後、銀行の不良債権問題が連日ニュースになりました。今のメガバンクの元になる銀行が次々と再編されていく局面です。
私はそこで銀行株を買い漁りました。結果として、ここでかなり利益を出すことができました。
この経験で学んだのは、「みんなが不安になっている時にこそ、価格は安くなっている」という当たり前のことでした。頭で分かっていても、実際に買うのは怖い。でも一度やってみると、その怖さの正体が少しだけ見えてきます。
人生を変えた、赤字企業の株主総会
ここからが、今の資産の大部分を作った話です。
例の上司が、毎日のように「ソフトバンク、ソフトバンク」と言っていました。当時のソフトバンクはYahoo! BB事業を始めた頃。気になって自分でも調べ、まず100株だけ買ってみました。
そして、巨額の赤字を出していた時期の株主総会に足を運びました。
そこで孫社長は、目先の業績ではなく10年、20年先の話を、ものすごい熱量で語りました。夢物語のようでいて、聞いていると話の筋が通っている。
私はその場でこう思いました。
「もしこの人の言っていることが本当になったら、この会社はとんでもないことになるんじゃないか」
ここが分岐点でした。人から勧められた話を、自分で調べ、経営者本人の口から直接聞いた。だから確信が持てたのだと思います。
2年間、給料が出るたびに買い続けた
その日から私がやったことは、とてもシンプルです。
毎月、給料が出るたびにソフトバンク株を買う。それを2年間続けました。
特別な手法ではありません。相場を読んだわけでもない。ただ、給料日が来たら買う。それだけです。
そしてその後は——ほとんど何もしませんでした。長期投資として、放っておいたのです。
そして2008年、リーマンショックが来た
買い集めを終えて数年後、あの暴落がやってきました。
リーマンショックの下げは、本当にきつかった。正直に言って、めちゃくちゃきつかったです。毎日、資産が溶けていくのを眺めているような日々でした。
投資を始めてまだ5年目。ようやく手応えを感じ始めた頃に、すべてを持っていかれるような下落が来たのです。
あの時、多くの人が市場から去っていきました。「もう株なんて二度とやらない」という声も、あちこちで聞きました。
私がしたことは、ひとつだけです。
株式市場から退場せず、コツコツと買い増しを続けた。
底値を狙ったわけでも、勇敢だったわけでもありません。ただ、いつも通り給料日に買った。それだけです。
今の資産があるのは、間違いなくこの時期のおかげです。あそこで投げ売りしていたら、その後の20年は存在しませんでした。
自分で言うのもなんですが、私はメンタルがめちゃくちゃ強いようです。これは能力というより、性格に近いのかもしれません。ただ一つ言えるのは、暴落の時に売らずにいられるかどうかが、長期投資の成否をほぼ決めてしまうということです。
暴落を耐える、たったひとつの方法
とはいえ、私だって平気だったわけではありません。
暴落局面で自分の持ち株の株価を見ていると、めちゃくちゃめげます。朝起きて確認して、昼にまた確認して、夜にもう一度見る。そのたびに数字が減っている。これで平常心でいられる人は、そういないと思います。
だから私は、こうしています。
開き直って、もう見ない。
「しばらく放っておけば戻る」と肝に銘じて、1週間でも2週間でも株価を見ないようにする。それだけです。
身も蓋もない話に聞こえるかもしれません。でも、これが一番効きます。
メンタルを強く保とうと「頑張る」のではなく、めげる材料を物理的に遠ざける。意志の力で耐えようとすると、たいてい負けます。人間の心はそこまで強くできていません。だったら、見なければいい。
暴落のたびに私がやってきたのは、精神論ではなく、この単純な行動です。これなら誰にでも真似できます。
では、いつ買うのか——私の判断基準
「見ない」と書きましたが、ずっと目を閉じているわけではありません。買うタイミングだけは、はっきり決めています。
ここで大事なのは、私が見ているのは自分の持ち株の株価ではないということです。
見ているのは、日経平均です。
自分の持ち株を見ると、どうしても「いくら損しているか」に目が行ってしまいます。それでは判断が感情に引っ張られる。だから私は、持ち株ではなく市場全体を見ます。
日経平均がだらだらと下がり続けている時期は、しばらく様子を見ます。ここで慌てて手を出しても、まだ下がることが多いからです。
私が動くのは、この時です。
日経平均が2日連続で大幅に下がった時。そこで勇気を持って買い増しをする。
じりじりとした下げではなく、投げ売りのような急落が2日続く。そういう場面では、市場全体が恐怖に飲まれて売られすぎていることが多い。私はそこを買い場と見ています。
そしてそういう時に買っているのは、特に銀行株です。
ここで大事なのは、「安くなったから買う」ではなく「決めた条件を満たしたから買う」という点だと思っています。
暴落の最中は、判断力が確実に鈍ります。だからこそ、あらかじめルールを決めておく。普段は株価を見ない。でも急落が2日続いたら買う。この2つをセットにしておけば、恐怖に飲まれずに動けます。
私が23年間やってきたのは、結局のところ「感情で判断しない仕組みを作ること」だったのかもしれません。
資産はこう増えた(実際の推移)
ここからが、この記事で一番書きたかった部分です。私の資産は、こんなふうに増えました。
| 時期 | 資産 |
|---|---|
| 30歳の頃 | ほぼゼロ |
| 40歳ごろ | 約1,500万円 |
| 47〜48歳ごろ | 5,000万円 |
| その約2年後 | 8,000万円 |
| 一昨年(50代前半) | 1億円を突破 |
| 現在(50代半ば) | 数億円 |
この表を見て、何か気づくことはないでしょうか。
私は40歳の時点で、資産1,500万円でした。
投資を始めて8年経っても、その程度だったのです。当時「億り人」なんて言葉は、自分とは無縁の世界の話だと思っていました。
一番長かったのは「8,000万円から1億円まで」
5,000万円から8,000万円までは、2年ほどで到達しました。ここは順調でした。
問題はその後です。
8,000万円から1億円までが、とにかく長かった。3年か、4年か、5年か。増えては減り、減っては増え。行ったり来たりを繰り返して、なかなか大台に届きませんでした。
あと2,000万円。たったそれだけの距離が、何年経っても縮まらない。
今振り返ると、この時期が一番しんどかったです。そして、多くの人が投資をやめてしまうのも、きっとこういう区間なんだろうと思います。
「もうこれ以上は増えないんじゃないか」
「そろそろ利益を確定したほうがいいんじゃないか」
そう考えなかったと言えば嘘になります。それでも、あの株主総会で聞いた話を思い出して、持ち続けました。
そして、壁を超えてからの加速
1億円を超えたのは一昨年のことです。50代に入ってからでした。
そこから先は、自分でも驚くほど速かった。1億円から現在の数億円まで、わずか2年ほどです。
20年かけて1億円。そこから2年で数億円。
この非対称性が、長期投資というものの正体なのだと思います。効いてくるのは、いつも後半なのです。
23年やってみて、思うこと
①勝因は「買ったこと」ではなく「売らなかったこと」
私がやった特別なことは、ほとんどありません。強いて言えば、20年以上売らずに持ち続けた、それだけです。上手に売買した記憶はありません。
②停滞期は「失敗」ではなく「途中」
8,000万円から1億円に届くまでの数年間、私は何も間違っていませんでした。ただ、結果が出るまでの時間の中にいただけです。増えない時期を耐えることは、それ自体が技術なのだと今は思います。
③暴落で買い増せたことが、すべての土台になった
リーマンショックで退場していたら、今の資産はゼロです。下げている時に買えるかどうか——ここが分かれ道でした。
④40代で焦って降りていたら、今はない
40歳で1,500万円。もしあの時「思ったより増えないな」と諦めていたら、今の資産はありませんでした。飛躍は、想像よりずっと遅れてやってきます。
これから始める人へ(正直な注意点)
最後に、どうしても書いておきたいことがあります。
私の資産の増え方は、そのまま真似できるものではありません。
現在の私の資産は、その大部分を1銘柄が占めています。つまり極端に集中した状態です。結果としてうまくいきましたが、逆に振れていた可能性も当然ありました。同じことを人に勧めるつもりはありませんし、勧められるものでもありません。
それでも、この記録から持ち帰ってもらえるものがあるとしたら、私はこの3つだと思っています。
- 30歳で資産ゼロでも、始めることはできる
- 増えない時期は必ず来る。そこが一番長い
- 暴落が来たら、株価を見ない。1週間でも2週間でも
- ただし日経平均が「2日連続の大幅安」なら、そこは買い場
- 時間を味方につけられるのは、続けた人だけ
私が特別だったわけではありません。40歳の時点では、どこにでもいる普通の会社員でした。
違いがあるとすれば、降りなかったことだけです。
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まとめ
30歳で資産ゼロ。2003年に預金を下ろして買った200株が出発点。40歳で1,500万円、47〜48歳で5,000万円、そして8,000万円から1億円までに数年かかり、50代で大台を超え、現在は数億円になりました。
この23年でいちばん学んだのは、「待つ」という行為の価値です。
今まさに、増えない資産を眺めてため息をついている方がいたら——その時間は無駄ではありません。私の場合、その数年間があったから今があります。
※本記事は筆者個人の体験の記録であり、特定の銘柄や投資手法を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
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